COSINA CT−10



35mmフォーカルプレーン一眼レフカメラ
シャッター:電子式金属幕縦走りフォーカルプレーンシャッター
露出モード:絞り優先AE
寸法:135×87.2×52.4(実測)
重量:405g(本体のみ実測、電池含む)
電池:LR44 2個

分解組み立て難易度10段階評価

 


 このカメラ、詳しい事はまったく分からないが、先日修理したNikon FE10と同系列のカメラらしい、ただし作りはこちらの方が古いのだろう、電池蓋などはFE10がプラスチックで有るのに対し、金属蓋である。
 とにかく珍しいカメラなのだが、オークションなどでもまったく人気が無く、ジャンクともなれば超破格値で、落札価格320円だった。
人気はともかく、Kマウントである事、ジャンクの理由が巻き上げ不良である事(巻き上げ不良は治る可能性が高い)が理由で入札してしまった(^^ゞ

まずは底蓋を外して動作確認。

巻き上げレバーからミラーボックスのチャージレバーまでの動作は問題無さそうだが、ミラーボックスがチャージされない。
これはミラーボックスの動作不良だろう、と、この時は思った。
トップカバーを外した。
第一印象は、「汚い」だった、モルトの劣化した粉が有るからと言う理由だけでなく、半田付けのフラックスが酷いし、配線もまとまりが悪い。

モルトはOM-1等と同じ位置(ペンタプリズムとアイピースの間)にあり、プリズム腐食が発生する寸前だった。
ここにも大きなモルトがある。

この後前面の貼り革を剥がしていると、”ころん”と”ピン”のようなものが出てきた(^^ゞ
こりゃいやな予感がするな(爆)
シャッターレリーズのリンクだけど、鉄板打ち抜き、そのまま(^^ゞ

まあこれでも機能は十分だからねえ、文句は言えないな。
ミラーボックスの動作確認をしてみると普通にチャージされるし、動作も問題なさそう、はてな?

色々観察の結果、どうやら悪いのはシャッターユニットのようだ。



ミラーボックスの動作はME等とよく似ている、構造は結構違うのに動作が似ていると言うのは不思議なものだ。
シャッターユニットの動作確認をしてみると、チャージレバーを動かしてもまったくスカスカである、どうやら貼り革を剥がしたときに出てきたピンは、このレバーの先に有った物のようだ。

 調べてみると幕のダンピング防止機構@が固着しているようだ、ダンパーゴムの溶け出しAが有るので、多分それが原因で固着したのだろう、そのために幕がチャージ出来なくなっていたようで、それを無理に巻き上げたのが原因でピンが取れたと思われる。
 多分壊れたときは結構ガツンと来る壊れ方だったんじゃないかな?


そう言うわけで止む無くシャッターユニット分解中。
こちらがシャッターのチャージレバー。

右に転がっているのが貼り革を剥がしたときに出てきたピン。

この後ピンをカシメ直し、念のため半田付けして再組み立てして完成!
と思ったが、事はそう単純ではなかった。

ピンが取れるくらいの力がかかったのだから反対側のレバーも変形しているらしく、後幕がチャージロック位置まで動かない(T_T)
再度分解してレバーの変形を修正、また組み立てて動作確認、分解調整・・・・結局1時間以上シャッターユニットと奮闘させられた。
さて、あとは組み立てるだけなのだが、ミラーボックスの内面反射対策が気になる、これじゃ「スメ8」並みでしょ。
植毛紙を貼ってみた。
写真では1面だけだが、良さそうなので4面(底、左右側面、ミラーの裏)に貼り付けた。
トップカバー

この安っぽさは半端ではない。
電源はレリーズボタン半押しで入るが、そのまま保持されると言うような機構は無いので、離せば切れる。
したがってOFFはレリーズロックされるだけ。

また、機械式の動作は無いので、”B”でも電池を消耗する。

このカメラ、とにかく基本性能に影響が無いと思われる部分は徹底的にコストを下げているが、基本性能に影響する部分は「きっちり」押さえている。
基本骨格は全て金属だし、巻上げ部の構造もまったく手抜きは感じない。
まあミラーボックスの内面反射対策はもう少し真面目にやって欲しかったですけどね。