PLAUBEL  makina 67




レンズ: NIKKR 1:2.8/80
シャッタースピード:B 1〜1/500秒
二重像合致式マニュアルフォーカス
露出計内臓(+○−表示)
フォーマット:6×7
寸法:高さ116×幅178×厚さ(最短撮影時最大120mm)
(折りたたみ時厚さ 58mm)
発売:1978年
発売価格:?

分解組み立て難易度(10段階評価)

技術的な難易度: 8
 (専用工具が必要、無理な設計が多々あり、接着剤固定あり)
 
また分解してみたい度: 5
素人修理は絶対お勧めしません

 このカメラ、今でもまったく人気の衰えないカメラの代表格かもしれない、折りたたんだ時の薄さと、その描写には定評がある。

 今回はJFCで何時も御世話になっているHIROさんからの修理依頼です、電装不良と言うことでした、このカメラは蛇腹のフレームと一緒に動く部分に電線が通っていて切れやすいんですね。

カメラの分解と言うと巻き上げレバーから始めてしまいますが、このカメラは無限遠の微調整が必要でなければ分解する必要は有りません。

写真はレリーズボタンを外したところです、レリーズボタンはねじ込んであるだけなので、あめゴムを当てて回せば簡単に外れます。(右ねじです)
分解のためにレンズを外す必要も有りませんが、絞りとシャッタースピードの設定ダイヤルは外す必要があります、これを外さないと前面カバーが外れません。
露出計の絞りとシャッタースピードの連動用の配線です、これは右の3本以外は外します。
どんどん分解!

ここを外すと電池BOXが出てきますので、とりあえず電気が何処まで来ているか確認しましたが、電池BOXの端子が外れていました、プラスチックを溶かしてカシメて有るだけの簡単な構造ですから、壊れやすいと思います、この状態では電気は来ないですね、穴を開けてねじで締める事にしました、これで大丈夫でしょう、露出計不良の原因がここならラッキーです。

この後フィルムの下側のシャフトと、ストラップ取付金具、三脚ねじの脇のカニ目ねじ2本を外すと前面カバーが外れます。
アクセサリーシューを外しますが、カバーはハマり込んでいる上に接着剤で着いています、分解することは考えていないとしか思えませんね。

距離計の調整は丸い穴から上下が、手前の穴から左右が調整可能です。
この赤い線が電源線です、電池を入れると一番左に+の電圧が立たないといけません、確認しましたが駄目ですね、やはり断線しているようです、一番右の線に直接3Vを掛けると露出計は点灯しましたが、絞りやシャッタースピードを変えても−しか点灯しません、やはり他の線も断線しているようです、これで総分解が決まってしまいました(T_T)。
まずは距離計を外しますが、電線の半田は全て外します。
電装基板は着けたままでも外せますが、作業には細心の注意が必要です、特にフレキ基板の左上、ICが接着剤でフレームに着いています、無理しないように!
距離計は外れました、次はフィルムカウンターです、矢印の3本外せば取れますが、中央のねじは緩めるときにカウンターのギヤが当たるので、カウンターを手で歯車の無いところまで回しておきましょう、このとき裏蓋は閉めておかないとカウンターが戻ってしまいます。

組み立ての時も同様に裏蓋を閉めた状態にしないと、開放レバーがうまく入りません。
もう一息で巻き上げユニットが外れます、外す前に無限の位置を確認しておきます。

後は底板2枚を外すし、ネジ7本外せばレンズの繰り出しユニットが外れます。
やっと分解しました。
これが巻き上げワイヤーと電線が通る部分です、切れていると思われる線を引っ張ったら、ピューっと伸びて簡単に切れてしまいました。
切れた線を繋ぎますが、太くなるので入るか心配です。
仮にセットしてみました、何とか入っているように見えますが、これでは駄目ですね、実は写真には写っていませんが、すぐ脇をシャッターチャージ用のワイヤーが通っていて、オリジナルでも当たらないギリギリなんです、私は手前のボスの外側から回りこむような配線にするべきだと思います、この後少々改造をして外側から配線が通るようにしました。
いよいよ組立てです、レンズ繰り出しユニットの組み付けは問題ありませんので省略(^^ゞ

巻き上げユニットを組み付ける前に次のことを確認します。
@:カウンターリセットピンのセット
A:露出計電源ボタンのセット
B:爪楊枝の切れ端のセット(爆)

組立て後に爪楊枝の切れ端は取り除くこと(^^ゞ
Bの部分にこの部分がハマります。
非常に組立てにくいです、組み立てられるものならやってみな!って感じです、まあnikon FGよりはマシですけどね、それにしてもFGと違って、ほんのちょっと設計変更すれば組み立てやすくなるのになあ。

後は元に戻すだけなので省略(爆)
こちらが電池BOX、なんでこんなところに有るんだろう?ここからわざわざ電線を通して本体にある基板まで繋いでいる、なんとか本体に入れれば線の数も減って断線も防げたのではないかと思うが、まあ苦心の末にここになったでしょうね。
この穴にはシャッターレリーズが付く、これは面白い。

折りたたんだ状態のこのコンパクトさ、重量があるので携帯に便利とは言いがたいが、とにかく鞄に入れるのには都合が良い、首にかけた状態でも違和感は少ない、撮りたい時にだけレンズを引っ張り出せばよいのだから。

また、このレンズの描写は非常に私の好みである、一台くらいは有っても良いかな?なんて思ったりもするけど・・・やっぱりやめとこう(爆)
今回は私の備忘録を兼ねて注意点を書き込んだが、このカメラの素人修理は絶対にお勧めしない、説明は省略しているが専用工具が必要な部分も多く、電装部分の配置に無理があるので、分解中にフレキ基板も切断しやすい、切れた線の修理だけでは済まなくなる可能性が非常に高い。

いずれにしても断線の可能性は高いので、中古を手に入れる場合は電装の確認は必須である、まあ反対に電装不良の格安品を手に入れると言う手もあるが(^^ゞ