私が社会人になるころまで使っていたカメラはコダックのポケットカメラで、固定焦点、固定絞りの今で言う「写るんです」のようなものだった、しかし110フィルムでは自ずと限界があったわけで、それがある日友人の撮った写真を見て、「こりゃダメだ」と思い、何の知識もないままに買ったのがこのカメラ。 すでに25年余りの付き合いだが、15年ほど前に露出計の動作がおかしいと思ったら、チャージもおかしくなりと、もう使えないかと半ば諦めていた。 その後最近まで故障したままほったらかしになっていたが、ジャンク(研究品)カメラの修理を始めたのを切っ掛けに思い出し、修理してみることにした。 しまい込んでいたと言っても専用ケースにいれて壁に吊るしてあっただけ、それでもレンズ゙やファインダーはとても綺麗で何の問題もなかった、しかし露出計の動作が不安定で、モルトもボロボロ、チャージはやはり不安、いずれにしても分解が必要な状態だった。 このカメラは軍艦部が上に外れる構造ではなく、前後の板で挟まれる、いわゆる最中(もなか)構造なので分解は結構大変である。 露出計の動作が不安定なのは、露出計の取り付けネジが緩んでいたためで、チャージ不良は多重露出機構部分の動作不良、分解して注油することで元気を取り戻した。 | |
このカメラの特徴である多重露出機構。 要はシャッターをチャージするだけのことなのだが、この狭いスペースによく組み込んだものだと感心する。 | |
コニカC35と変わらない大きさで、マニュアルとシャッタースピード優先オートが使えるのは魅力的。 また、チャージインジケーター、レリーズロック、フィリムセットインジケーター、バッテリーチェックボタン(押すと露出計が5.6と8の間にある赤い印の範囲にくればOK)なども親切な設計である、これでフラッシュマチックもあれば完璧なのだがなあ、でもまあ今ならフラッシュもオートなのでかえって良いかも。 | |
RICOHの伝統とも言えるいいかげんな遮光(失礼)、煎餅の缶だってモルト貼ればカメラになるとでも言いたげな構造である、これが目的で最中構造にしたのかと疑ってしまう、まあモルトが劣化しなければこれはこれでいいのかもしれないが、マニアうけはしないだろうなあ。 |