PENTAX S2(後期)




35mmフォーカルプレーン一眼レフカメラ
シャッター:機械式布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
1/1000〜1秒、B、T Xシンクロ=1/40秒
寸法:145×92×53mm
発売年月 1963年 

分解組み立て難易度10段階評価
 5

S2は発売開始が私の生年と同じ1959年なので、ちょっと気になるカメラなのです(^_^;)
でも今回は後期型なので私より若い!なのに相当くたびれてますね、私もこのカメラより歳だと思うとちょっとガックリ来ます(爆)。

今回はシャッタースピード不良、時々ミラーアップの状態で、幕交換と各部の分解清掃をすることにしました。

カウンタの分解、自動復帰タイプではないのに、これが意外に面倒なのです。
X接点部、電線はこの二本だけ、Y型端子なのでネジを緩めれば簡単に取れる、このカメラに半田ごては必要ない。(^O^)

中央に見えるギヤが先幕と連動していて、幕が全開になったときに接点を閉じるようになっている。
ギヤの右側のレバーは先幕のバウンド防止用ストッパーで、下の左から繋がるレバーは巻き上げ時にバウンドロックを解除するためのもの。
機械式シャッターなので決して単純な構造ではない、だが機構の勉強には最高(^^ゞ
幕は穴は無いもののひび割れたような状態なので交換することにした。


ミラーアップと自動絞り機構。
非常に単純である、チャージロック機構はここには無い。
一番上のレバーがミラーが上がった時にシャッターの動作を開始するレバー。
右上のギヤが後幕と一緒に回り、ミラーアップを解除するためのもの、その下に見えるレバーがミラーチャージロックレバー。
幕交換のために幕制御部の分解をする。
まずは巻き上げレバー部を外す。

実は幕交換だけなら制御部の分解は必ずしも必要ではない、だがなにせ40年も前のカメラである、分解掃除して気持ちよく使いたいでしょ(^^ゞ、
シャッタースピードダイヤルセレクターを外す。

中央に縦に見える黒いレバーが低速ガバナーの制御用レバー
高速側のカムとアイドルギヤ、巻き上げギヤを外したところ、もう一息である。
分解した部品は分解した順番に置いていく、しかし丸いところに順番に置いたら何処が始まりだったか解からなくなるじゃないの(爆)


シャッター幕の制御機構はこれくらいの部品で出来ている。

幕の竿部分の構造が先幕と後幕で違っていた、上が先幕、下が後幕である。


今回は竿も流用せずに新たに作ってみた、中央二枚が新しい幕。
組み込み中、まずは後幕の位置あわせから。
後幕はストッパーが掛かった状態でフォーカスフレームの端面から4mm
くらいの位置になるようにセットする、これは短すぎると低速の時に
後幕の先端がフォーカスフレームに顔を出してしまうし、長すぎると
巻き上げに支障が出るので慎重に。
こちらが後幕のストッパー。
後幕はシャッタースピードダイヤルの一番下のギヤに連動している。
次は先幕のセット。
先幕は後幕のと先幕の両ストッパーが効いた状態で幕同士の竿が重なるように調整する。

写真は先幕、アイドルギヤ、巻き上げギヤまで組みあがったところ。
幕の組み付けは終わったので、次は低速用ガバナーの掃除。
このガバナーは一方向のみに抵抗があるのが正しい、なのでシャッターを切った後にガバナーの戻る音がするようなら分解清掃が必要である。

まずは外して…。
ここまで分解して掃除。
中に見える丸いものがワンウエイクラッチのローラー、これをベンジンで清掃して組み立てる。

これで戻りは一瞬になった。

このガバナーは動きが悪いからと言って絶対に注油しないこと、ベンジン浴も駄目、必ず分解して掃除をするのがよい。


いよいよ本格的に組み立てる。
しかしシンプルで良いですね、メーターも何も無い(^^ゞ
X接点は先ほど説明したが、先幕が全開になったときにONになります。

ではFP接点は…?
ミラーが上まで上がった時にONになります。
 このカメラはPENTAXの布幕の制御系を勉強するにはとても良い教材になると思います、電装と呼べるようなものはX接点用の二本だけで、とてもシンプルな構造になっているからです。
 それでも一軸不回転式のシャッター幕制御機構はそう単純では有りません、安易な分解は禁物です。

 今回S2を分解して気が付いたのですが、SPと大きく違うことがありました、それは幕の巻上げ側の軸が前後逆だと言うことです、つまり、S2ではリボン側の軸が右左で前後しているのに対して、SPではリボン側の軸は左右ともレンズ側なっています、面白いですね、どうしてでしょうか?
私はSPの構造のほうが良いと思います、左右対称になりますから、幕の長さも先幕と後幕で同じになるので幕速度の調整も楽でしょうからね。
では、S2はどうして反対なのでしょうか??? これはもっと色々勉強しろということなのかもしれませんね(爆)