PENTAX KX




35mmフォーカルプレーン一眼レフカメラ
露出制御:追い針式マニュアル制御、中央重点全面測光
ファインダー倍率:0.88倍(55mm標準レンズで等倍)
シャッター:機械式横走り布幕フォーカルプレーンシャッタ
1/1000〜1秒 Xシンクロ1/60秒
電池:G13×2個
寸法:143×92.5×52.5mm
発売年月 1975年6月 
発売時価格:クローム 49,100円

分解組み立て難易度10段階評価
 6


以前からKシリーズを買うならKXが良いなあと思っていたのですが、もうカメラも増やしたくないので(3年前からそう思っている(^^ゞ)手を出さなかったのですが、KMをMADAMさんから頂き、そしてとうとう先日ジャンクのKXをオークションで落札してしまいました。
状況はミラーアップとのことでしたので、ミラーBOXの動作不良かなと軽く考えていたのですが、どうして色々と大変なことになっていました。
詳細はネジネジ日記に書いたのですが、復習です。

ミラーアップで幕が閉じていますから、考えられる原因は大きく分けると
1、ミラーBOXの動作不良
2、先幕のスタート不良
3、後幕の動作後のミラーBOXリターン不良
等が考えられると思うのです。
それでは確認しながら分解です。
中央に見えるのが先幕のストッパーレバーです、これは巻き上げた状態です。
ミラーが跳ね上がると、先幕のストッパーが外れて先幕がスタートしなければおかしいのですが、写真のようにここまでで止まってしまいます、何かが引っかかっているんでしょうか。
シャッタースピードダイヤル部です、基本的にはSPなどと同じですが、ファインダー内のシャッタースピード表示を動かすための機構がある分だけ複雑です、でも分解はさほど難しくありません。
SPでは露出計のスイッチが別にありましたが、KXでは巻き上レバーを半出状態にしてシャッターボタンを半押しすると電源が入ります。
青い電線はそのためのものです。
ファインダー内のシャッタースピード表示を動かすための機構。
露出調整用の可変抵抗器、右側はバッテリーチェック用。
なんとか無理やり先幕を出してやって巻き上げようとすると、先幕と後幕の間に隙間があります、どちらかの幕のタイミングがズレたのかな?
色々動作確認をしたら先幕の巻き上げシャフトが偏心しています、多分無理な巻上げをしたのでしょう、そのためにギヤが偏心してギヤとびを起こし、幕の位置がズレたようです。
軸の偏心を治すには軸を外す必要があるので、「結構重修理だ!」と、思った瞬間から、軸を治して組み上げるまで写真を撮るのも忘れてしまいました(^^ゞ
軸の偏心を治したら先幕はスムーズに開くようになりました、写真は軸偏心の修理が終わってミラーBOXを組み付けるところです。
しかし、ミラーBOXを組み付けると巻上げが出来なくなるのです、再度ミラーBOXを外して確認したら、先幕のリボンの折り返しがミラーBOXに引っかかっていました、これでは巻き上げは出来ないので、ゴム系の接着剤で貼り、引っかからないようにしました。
この部分に引っかかるようです。
これで故障箇所の修理は終わったので、モルトを交換して組み立てるだけです。
もう一息!
裏蓋周りのモルトも交換して完了です。
KXとMXは似ているという話をよく耳にします、確かに構造的には似ている部分もあるし、デザイン的にもよく似ているのですが、しっかり比べてみるとまったく別のカメラあることは明白です、でもこのカメラの設計からMXが生み出されたことは確かなようですね、それは大変な設計変更だったと思います、益々MXの設計者に敬意を表したくなりました。

それにしてもこのカメラ、コストダウンなんて言葉は無かったころのカメラかな?とにかく非常に部品点数も多く、パーツの材質、仕上げも十分です、価値ある一台と言えると思いますね。