OLYMPUS OM-1





マウント:オリンパスOMマウント
シャッター:布幕式横走フォーカルプレーン
シャッタースピード:B・1〜1/1000秒
ファインダー視野率:97%
露出制御:中央部重点測光式マニュアル
フィルム感度連動範囲:ISO25〜1600
寸法:136×83×50
重量:740g(50mm/F1.4付)
発売:1972年7月

持病:プリズム腐食、巻き上げ不良、電池ケース取り付けネジ破損、断線

知人からの依頼で今回はじめて分解する機会をいただきました。
MEシリーズなどと比較すると、なかなかスマートな作りのカメラで(意味不明)、人気の秘密を垣間見た気分です。
ME等と比べるととても綺麗な印象です、塗装やメッキの質が良いですね、ME系では裏蓋の塗装が錆びている物をよく見かけますが、OM-1ではアルミですからその心配はありません。
レンズは先端部が絞りで、ピントリング、シャッタースピードと続きますが、MEシリーズになれた身には操作性が悪いです、まあ慣れの問題だけですが。
特にシャッタースピードの調整は左手で出来るのは便利なんですが、指がかかる部分がいつも同じ場所にあるわけじゃないのと、レンズロック解除ボタン、絞込みボタンと紛らわしいですね、これも慣れると使いやすのだろうかと思ってしまいます。
左上に見える小さな基板には露出計の特性合わせ用の抵抗器が3個あるだけです、特性が狂っていた場合の調整は抵抗交換しかありません、これはちょっと不便です、なにせ30年も前のカメラなので、狂っていてもあたり前、電池もLR44なんか使おうとしてますしね、メカ的な設計の良さに比べると電装は御粗末な印象です。
OM-1に多く見られるプリズムの腐食はプリズムとアイピースの間にあるモルトが溶けて蒸着保護用の塗装を侵すために発生します、なのでME-Superのダンパー同様、いずれは腐食すると考えられます。
露出の狂いでも全体的に狂っている場合、つまり明るい時、暗い時で狂いの量が同じ場合は露出計(写真右上の丸いもの)の上のネジで調整が出来ます、@ネジがロックネジでAの真鍮ネジが調整用です。
今回の故障内容は巻上げが時々滑ると言うことだったのですが、これは巻き上げレバー下のラチェットの動きが粘ってロックにならないためだったので、ベンジンで洗浄して完了、OM-1にはよくある症状ですね。
動作確認してみると、時々露出計が動きません、原因は電池ケースの半田付けが切れかかっているためのようです、よく見ると電池ケースの取り付けネジも折れていました、電極の固定と一緒なので絶縁のためにプラスチックのネジを使っているのですが、これはでは折れないほうが不思議、電極のバネの力が常にかかっているのですからね。
これを直せば完了のはずだったのですが、線の長さがギリギリの長さなで、被服が思うように剥けなくて、強引に剥こうとしたらボディーから出てくる部分で切れてしまいました。(涙)
結局配線の交換をしなくてはならず、ここまで分解することに・・・・・。
こうなったらついでに機構を色々見てみましょう。
シャッタースピードのコントロール系はすべてミラーボックスの下に組み込まれています、左側の巻上げ軸に縦に沢山穴が開いているのは幕の位置を調整するためのもので、ネジの位置を変えると幕が移動します、これは親切な設計。
左側に見える茶色の電線を交換しました。
OM-1はシャッタースピードの設定がマウント部にあるので、そこから糸で露出計を動かしています。
ミラーBOXのチャージレバーです、この辺をうまくいじらないと分解、組み立てが出来ません。
露出が高照度時と低照度時で差が有るため、抵抗を交換して特性調整をしました。
写真は抵抗の変わりに可変抵抗器を付けたり、電源を短絡させて調整が楽なようにしている様子です。
  


写真をクリックすると試写が見られます。