OLYMPUS-35 SP


 

レンズ: G.Zuiko 1:1.7 f=42mm
シャッター:SEIKO-FLA
シャッタースピード:1〜1/500秒、B
焦点調節:2重像合致式、0.85m〜無限
露出制御:プログラムEE ASA25〜800、マニュアル式
電源:H-D(MR-9)型水銀電池 1個
大きさ、重さ:129×75×61mm 600g
発売:1969年
発売価格:23、000円

このカメラ、以前からちょっと気になるカメラだったのです、レンジファインダーで、プログラムオートとマニュアルが使える上に、レンズは気になるG.Zuikoでしょ(^^ゞ写りの評判も良いようですしね。
ですが流石に人気が有るらしく、なかなか手に入れられないで居りました、他にもカメラが沢山ありますからね、何か処分しないで手に入れるのは困難な状況です(爆)
今回手に入れた物はいつもの通りジャンクでした、巻き上げレバーがブラブラしている上に、振ると何処かでカタカタ音がします、当然シャッターは切れません、でもレンズは比較的綺麗だし、外観も巻き上げ側に軽い当りがある他は特に問題無さそうです。

巻き上げレバーがブラブラしていたのでとにかく軍艦部を外しました、ですがカタカタ音のする原因はわかりません、どうやら底のほう見たいですね。
こちらファインダー、特に問題は無さそう、掃除をすればOKでしょう。

プログラムオート用のカニバサミ。
露出調整用の抵抗とSP露光の切り替えボタン。
底蓋を外して観察、なんと!巻上げレバーの中央の真鍮ネジが折れていた、またしても無理な巻上げによる破損のようですね、しかもシャフトとシャッターチャージ用クランクの組み付け部分も無理をして削れてしまっている、治るかな〜ぁ(>_<)
巻き上げレバーのリターンスプリングも先端で折れている、どうすればこんな風に壊れるのだろうか?
シャッターチャージ用のクランクの嵌り込み部分は治しようが無いのでシャフトを短くする覚悟で先端を削ってガタが出ないよう加工。
リターン用のスプリングは少しだけ巻きほぐして先端がフレームに引っ掛かる長さに加工してOKのようだ。

この後シャフトが短くなった分だけ本体のブッシュを削って無理なく回転するように調整。
折れたネジはドリルで取った後にタップを通し、クランクは皿座グリをして皿ネジ固定とした、これで問題なく動作するようになった、ゆるみ止めはつけなかったので、いずれ緩むかも、対策を考えとこう (^^ゞ。

これで巻き上げの機構は修理できたが、やはり巻き上げが出来ない、シャッターの分解が必要なようだ。
とりあえずフロントボードを外す。

写真はシャッターレリーズ機構とプログラムオートでシャッタースピードと絞りを制御する部分。
巻き上げ不良の原因は全体的に回った油が固まり、巻き上げレバーも非常に重くなっていたようなので、分解とベンジン洗浄を行った。

写真はプログラムオートでシャッタースピードを制御する部分。
ベンジン洗浄をしたら巻上げは出来るようになったが、チャージの時にシャッターが一瞬開いてしまう、これでは実用にならない。

原因は巻き上げの時にシャッターを閉じた状態に保持するスプリングが折れたためだった、これは手持ちのスプリングを伸ばして巻きなおしたものに交換、これでシャッターチャージの時もシャッターが開かなくなった。
これで完成!っと思ったら・・・

露出計が相当明るくしないと動かない、多分cdsの問題だと思うが、SPは特殊なcdsを使っているので簡単に交換とは行かない、どうしよう、色々挑戦したが、最終的には手持ちのcdsを2個並列に繋いで代用することにした、当然スポット測光は諦めるしかない。

写真左がSP用の特殊なcds、中央がスポット測光用のエリアになっている。

右は苦肉の策で代用に使ったcds。
当然調整用の抵抗を交換する必要が有るが、調整が容易なように可変抵抗器に交換した。

ASA設定の特性まではとても合わせられそうに無いのでASA100固定とした。
後はモルト交換だけ、でもなんでこんなところにモルトがあるんだ!内面反射防止のためだと思うが、ここは掃除が大変だぞー
電池はLR44が使えるように改造。
なんちゃって、ボール紙をくるくる巻いて詰めただけですが(爆)

左がMR9(H−D)水銀電池
右はボール紙を切って蓋に押し込み、LR44を入れたところ。
これで問題なく動作する。
このレンズ、試写が楽しみである。
スポット測光用のボタン、今回の修理で飾りとなってしまった、御免なさい<(_ _)>。
プログラムEE撮影


オート撮影の時はシャッタースピード、絞り共にAの位置にする必要が有る。
マニュアル露出撮影



シャッタースピードリングの切り欠から見える数字を本体の露出計が指示した値になるようにシャッタースピードと絞りを決める。
一見巻き上げレバーがブラブラするだけの故障かと思われたSPだったが、実は色々と問題があり、思ったより修理に時間がかかってしまった、おかげで修理待ちのカメラが増えた(^^ゞ。

ところでこのカメラ、冒頭でも書いたが、レンジファインダーで、プログラムオートとマニュアルが使える上に、レンズは気になるG.Zuiko、デザインも好みだし、ほぼ理想的なカメラと思っていたのだが、残念なことに電源スイッチが無い、常に露出計は動作したままである、しかもcdsはレンズの部分には無いのでレンズキャップをしても動作している、どうしてこんな設計なんだろう、撮影の時以外はケースに入れるか電池を抜けと言うことなのだろうか?当時のライフスタイルを考えるとそれも普通のことだったのかなあなんて思ってしまいます、あれ?そう言えばEEDもそうだったかな?セレン光電池を使っていたころならこれでも良いんでしょうけどね、いくら消費電流は少なくても貧乏性の私にはとても使えません(爆)。


試 写


写真をクリックすると試写が見られます。