OLYMPUS 35 EC




レンズ: E.Zuiko 1:2.8 f=42mm
シャッタースピード:4〜1/800秒
焦点調節:目測式、0.9m〜無限
露出制御:プログラムEE ASA25〜800
電源:HM-N(NR52)型水銀電池 2個
大きさ、重さ:110×66×48mm 430g
発売:1970年
発売価格:19800円

分解組み立て難易度(私の個人的な能力から(爆))

技術的な難易度: 3
 (シャッター幕の分解はちょっと手間かな)

  大変度: 
  (モルトが沢山あります)
  
また分解してみたい度: 1
(技術的には特別興味をそそられるカメラではありません、カメラとしては良いカメラですよ)

最近はオークションを覗く事もめっきり少なくなったのですが、偶々この35ECを見つけて入札しました、なんと落札価格¥500、でも送料¥1160かかっちゃいました(^_^;)
このカメラ、ちょっと気になるカメラの一台だったのですが、目測式は苦手だったこともあり、今まで手に入れませんでした、値段に負けた感じですね(笑)
ジャンクの状況は、シャッター切れず、巻き上げ不良、レンズカビと言う物でした。

到着してから動作確認をしてみると巻き上げは出来るようです、シャッターも動作しますが開いていませんね。

まずは電池を取り出します、カメラ修理の基本です、電池を入れ替えただけで治る場合もありますから。

電池蓋を開けてみたら、中から水銀電池(NR52)が出てきました、容量はほぼ”0”V、これじゃシャッター切れないです。

左側の電極が腐食しています、ファインダーの掃除や、モルト交換もしたいので分解することにしましょう。
ファインダーの上に豆電球が2個あります、左が電池チェック用で、右側がフラッシュマチックの確認用です。

このときは気が付かなかったのですが、左側の電球が切れていました。
巻き上げはPEN以来伝統のダイヤル式、コスト的には有利、デザインもトップカバーがスッキリ自由度が増すからGOODな設計だけど、赤切れの手には酷(笑)

ASA設定はCdsの前の絞りの大きさを変えるタイプ、合理的で個人的には好きな構成。
ファインダーを外すと目測用のインジケーターの針がある、よく見ないと気が付かないので折らないように注意が必要。
どこかで見たようなシャッター、そうだ、MINOLTA HI-MATIC Eと同じですね、SEIKO-ESFシャッターです、細い電線が神経のように張り巡らされています。
シャッターユニットを外すと何箇所かモルトがあるので交換します。
レンズのカビは後玉の表面のようだったので分解しました、写真はシャッター幕です、通常はここまで分解する必要はありませんが、フラッシュマチックの動作ピンが取れていたので、分解して再カシメをすることにしました。
こちらがフラッシュマチックで距離にあわせて絞りを制御するピンです、分解した時に”コロン”と落ちてきました(笑)

写真はカシメ後です。


これで全て組み立てて動作確認をしたのですが、シャッターの動作に問題は無いものの、電池確認ランプもフラッシュマチック確認ランプも点きません、テスターで当たってもランプに電圧が立っていないので、どこか接触不良なんでしょう、使う分には問題ないのですが、ここまできたらしっかり治したいので再度分解しました。

このシャッターは電子式と言ってもシャッタースピードが電子制御なだけで、ランプの点灯はスラードスイッチの動作で行っています、なので点灯しないのは接触不良が主な原因と考えられますから、分解して接点を磨きました。
これで問題なく電圧は立つようになりましたが、それでも電池確認ランプが点きません、どうやら玉切れのようで、こればっかりは交換するしかないですね、手持ちの電球もあったのですが、電池をLR44仕様に改造したので、消費電流が少ないLEDに交換する事にしました。
写真は
上:外した豆電球
中:絶縁チューブとLED
下:LEDに電線と絶縁チューブをはめたところ。

LEDには極性があるので電線も色分けをしました。
LEDに交換した様子。
これで問題なく点灯するようになりました。
電池BOXはLR44がアダプター無しで使えるように改造しました。

左側は外形15mmのバルサ材を輪切りにして中央にM4×10mmのネジを通し、ネジの先端に電線を半田付けして押し込みました、元の電極は錆びていたので、取ってしまいました。
バルサ材はドリルなどを使わなくても精密ドライバーで穴が開くし、大きさもカッターで簡単に調整できるので作業はとっても楽ですよ、一本買えば100台くらい改造できますから、一台あたり2円くらい。

右側はLR44がグラグラしないようにボール紙を切ってくるくる巻いて押し込んだだけです(^_^;)。

難しいことは必要ないのです、これで十分使えるようになるんですから。
                        (^_^;)
実は、このカメラのシャッターがSEIKO ESFシャッターだとは夢にも思わなかったのです、てっきりPEN EED等と同じだと思っていましたので、ちょとがっかりしてしまいました。
このESFというシャッターユニット、レリーズが重くてグニャーって感じで、戻りもジーッ、カシャンって感じで戻ってくるし、ストロークも長〜い、いつまで押していれば良いのか解からない等、私はどうも好きになれないのです。
しかし、カメラとしてはファインダー内にインジケーターが有ることも手伝ってか目測式でも結構使い勝手は良し、電子式シャッターなので暗くても撮れます、当然ブレるけど(笑)
それに全体としてプラ部品も少なく質感が良いカメラだと思います、このころのカメラは電池蓋がプラスチックのものが多い中、しっかりした金属蓋ですからね、少なくとお勧めの一台であることに違いはないです、人気がないのが不思議ですが、やはり目測のせいかな。

 


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