Nikon FG



TTL中央部重点平均測光
金属幕縦走り式フォーカルプレーンシャッター(セイコー)
1〜1/1000秒、電子制御式
 M90とBは機械式
電池 SR44×2
寸法:136×87.5×54mm
重量:490g(本体のみ)
発売:1982年
発売時価格:61,000円(ブラックは4,000円高))

分解組み立て難易度10段階評価
 7
巻上げ部組立て困難

 先日FMを修理してからNikonにハマったようだ、設計的にはハテナな部分も多いが、まあそんなことは何処のメーカーでも多かれ少なかれ有るわけだしね(^^ゞ

 俗に「リトルニコン」と呼ばれる「EM、FG、FG−20」だが、実は先日までさっぱり興味が無かったのです、これが怖いんだな、ちょっとした切っ掛けでゴロゴロと…(爆)


FGはこの3機種の中では一番高級機で、特徴はストロボTTL自動調光と、プログラムAEが出来ることです。
例によってジャンクですが、説明によると「シャッターチャージ機構が内部で噛みこんでいて、巻上げもレリーズもできません」ということでしたが、露出計は作動しているようなので精進させていただきました(^^ゞ
あ!っと、開けてびっくり、これはしっかり電子カメラでした、そりゃそうですね、プログラムAEとストロボTTL自動調光ですから。
巻き上げ不良なので巻上げ部をチェック。

中央に見える黄色と黒の線は、カウンターが「1」になるまでシャッター速度が一定速(1/90秒)で切れるようにするためのもの、キャップをしたままAUTOでフィルム装填をした際にシャッタースピードが長時間になるのを防ぐためのものである、そういえばPENTAX Super Aでも同じような仕組みでした、親切な設計と言えると思いますが(余計なお世話とも言うが)、修理した時は動作確認が大変なんですよ、ショートさせれば良いんですけどね。
とりあえず私はカウンター1までカラ写しする習慣は無いのでショートさせて常に露出計が起動するようにした。
とにかく巻き上げレバーがビクともしないので分解を始めたが、電装が多くて結構大変。
電装が外れた。
この状態ではまだ機構がハッキリしないので原因はつかめない。
巻き上げ部を外すといきなりこうなる、コストダウンのための部品削減らしい。

左上のギヤがスプロケットを回すためのものだが、ビクともしない、なんでだろう?
少々無理をしてやっとのことで外した、だが原因は不明、油が固まったような状態とでも言おうか、とにかく外して注油したら軽く回るようになった。
実は巻上げ部を外すのは簡単なのだが、ミラーBOXがついた状態で巻上げ部を組み付けるのは容易ではない、と言うか多分無理(^^ゞ、Nikonではどういう風に組み立てているんだろう?とにかくNikonの製造技術は凄いのかもしれないと思う。
いずれにしてもシャッター幕にモルトが付着しているようなので、ここまで分解することにした。
シャッターユニットはMEシリーズでお馴染みのセイコーMFCシャッター。
羽の軸受け部付近にあるダンパーは取っておこう、溶け出すとまた分解しなくちゃいけないしね。
セルフタイマーユニットは電子化されていない、まだ機械式。

FM、FEと違ってミラーBOXの本体への組み付けは容易。
こちらはミラーBOXを下から見たところ。

FMより非常にシンプルになって動作もスムーズになった、これなら問題は無いな。
 このカメラ、ME Superをメインに使っている私にはとても使い安い、シャッタースピードの設定方法を除けばほぼ同じ使い勝手である、特徴的な中折れ式の巻き上げレバーも使う上では特に問題は感じない、レバーが引っ込んだままでもシャッターは切れるしね。
 また瞬間絞り込み測光方式なのでAi−SレンズでなくてもプログラムAEが出来る点もうれしい、なにせAi−Sのレンズは持ってない(爆)。

 向かって右上の黒いボタンは逆光補正で、ME Superの場合は露出補正が簡単なので無くてもさほど不便を感じないが、このカメラは露出補正の時にロック解除ボタンを押す必要があり面倒なので嬉しい機能である。
 巻き上げの音と感触(ゴロゴロ)は私の好みではない、巻き上げ完了時に「ガキン」と外れたようなショック(大げさだが)があるのは小刻み巻上げを実現するためだが、これも好きになれない、これは設計者の「小刻み巻上げへのこだわり」という話も有るが、そうは思えない、実際FGの巻上げをすると、縦走り金属幕シャッター機とは思えないほど巻き上げ完了位置がカメラのフロントプレートより前まで出てしまう、これはコストダウン(あのギヤ配置じゃ巻き上げ角に余裕が無い)による弊害と思われるが、その対策と考えるのが正しいだろう、だいたい一人の設計者が小刻み巻上げにすることに「こだわって」実現できるほどコストに余裕があったとは思えない、同じこだわるなら巻き上げ角を120度ぐらいになるようにこだわって欲しかった。ちなみにFGの巻き上げ角度は144度、MEは135度。

 シャッター音は絞り制御機構の音(ギヤの回る音)が大きく特徴のある音だが、甲高いものではなくFMよりは静かで好ましい。
 シャッターが1/30秒以下の低速になると「ピッピッ」と教えてくれるのも助かる、私は何度ME Superで固まったことか(爆)

とにかくこのカメラは気に入った、しばらく使ってみたいと密かに思う。