Nikon FE10




露出制御:A(絞り優先オート)、マニュアル
TTL中央部重点測光、絞込み測光可能
シャッターユニット:電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:マニュアル時 B・1〜1/2000秒
AUTO時 8〜1/2000秒
電池 SR44×2またはLR44×2、CR-1/3N等
寸法:139×86×53mm
重量:400g(電池含まず)
発売:1997年2月
発売時価格:60,000円(Aiズームニッコール35〜70mmF3.5付き)

分解組み立て難易度10段階評価
 5
トリッキーな部分はほとんど無い

 外観的にはFM10と非常に良く似ている、大きな違いと言えばセルフタイマーと、露出補正くらいのもの、シャッタースピードダイヤルも違うが、まあ比べなきゃ分からないよね。
 ところで我が家には1999年11月20日発行のカタログが有り、右下に落書きで
ラクテン  ¥39,800
キタムラ  ¥41,800
ニッサン  ¥38,300
YAHOO  ¥48,000
とある、確か2001年の夏ごろだったように思うが、当時はEOS KissUを実用に所有していたので、指をくわえて眺めていたって感じでした。
その後中古のP30を手に入れ、ジャンクのMEを手に入れ、マウントを統一すべくEOS KissUを手放してMZ−3を手に入れ・・・まあ、早い話ジャンクの道をまっしぐらです(爆)

その後特にFE10が欲しいとは思って無かったのですが、オークションでジャンクがウルトラ格安で出品されていたのでゲット(爆)

オークション出品者の説明では「シャッターは下りません。フィルムも巻けません」と言うもので、写真も有ったのでシャッターがジャムっているのは承知の上。

こんなの修理する気で買うかな(^_^;)、
巻上げレバーはカバーを止めるネジ以外にネジが無い、素晴らしいコストダウンである。
前面の貼り革の部分はプラスチックのカバーになっていて、両面テープで貼り付いている。
このカバーの下にトップカバーを止めるネジが隠れている。

シャッタースピードダイヤルはトップカバー側に付いているので外す必要なし、ISO感度設定ダイヤルはネジ3本で外れるし、とにかく分解性は良いし、余計なワッシャも無いので引っ繰り返しても安心(爆)。
セルフタイマーボタンの下、青いのはミラーアップ動作開始用のソレノイド(電磁石)。
ここまでの分解で半田付けを外すのは写真に見えるオレンジの電線と、シャッターユニットにつながるフレキの半田付けだけ。
シャッターユニットはこんな感じ(^_^;)
金属部分に錆が発生している。

シャッター開放状態で水でも入ったのが錆付いて、それをチャージしようとしてジャムった、そんな感じかな?
幸い幕に損傷は無く、少々曲がりが有ったので修正し、錆落とし液に1時間ほど漬けて錆を落とした。
組み立てて完成!

しかしこのシャッターユニットの簡素さには驚く、制御部には電磁石と幕チャージカムが有るだけ、フレームは「ほとんど」プラスチック、FM10とはまったく異なる。
ところでこの電磁石、シャッター動作完了後にミラーを戻すためのものだが、ちょっと緑色になっていたのでテスターで確認したら断線している様子(^_^;)

外して掃除して再確認したが、やはり断線している、ここにも何かの液体が流れたような跡が有り、そのせいで錆びて断線したものと思われる。
とりあえず芯を抜いてみた、ボビンは根元で繋がっている。
写真のように精密ドライバーに差し込み、くるくると巻きほぐしてみると数箇所で断線していた、幸いほとんどが端の方なので廃棄(爆)
ただし一箇所だけ真ん中あたりのため繋いで半田付けした。

巻き方向は覚えておこう、反対に巻いたら大変ですから。

巻いてあるのは0.1mmのマグネットワイヤーと言うもの、絶縁被服を剥がさずにそのまま半田付けできるのでエナメル線などより作業が簡単。
巻きなおして組み立てたが・・・(^_^;)
初めは真面目に巻いたが、途中からぐるぐる巻きにしてしまった(爆)
この電磁石はミラーボックスの下につく。
この状態で通電して動作の確認を行う。

ところで、先ほどから電磁石と書いているが、厳密に言うとちょっと違う。
何が違うかと言うと、普通の電磁石と違って電気を流さないときに磁石になっていて、電磁石に鉄片が貼り付いた状態がチャージ状態、そこからスイッチONで鉄片が離れることでスタートする、電池が無いときにシャッターが切れてしまわないように出来ているのだ。

後は特に問題も無く、組み立てて完了。
次はレンズ。

動作に問題はなさそうだが、飾り板が紛失している。

それと、前玉の後ろに大きなゴミが有るので分解する事に。

写真のネジを3本緩めるとピントリングが外れる、無限遠の調整は必須。
ピントリングが外れれば前玉は簡単に外れる、非常に単純な構造。

本体はほとんどプラスチック、ヘリコイドもプラでガタが多く、回していると画像が揺れる(^^ゞ
ただしマウントは金属である。
飾り板はカタログの写真をスキャンして、レタッチ、大きさを調整してプリントアウトしたものを貼り付けた。
ちょっと目には分からないと思う(^_^;)
修理完了!

シャッターユニットに錆びの跡は残ったが、動作に問題は無さそうである。
レンズロック解除ボタンの上に見えるのはAEロックボタン。

一度押すとロック、もう一度押すと解除される。
裏蓋はラバー塗料が剥がれてボロボロだったので、必死で剥がした。
無いほうが綺麗だと思うんだけどなあ。

露出補正はISO設定と兼用なので、設定後は元に戻すのを忘れないようにしなくちゃね。

こういうタイプだとセットしたフィルムの感度を忘れると悲惨な事になるのだが、この時期のカメラはフィルムの確認窓が有りますからね、忘れても覗けば分かります。
グリップ部のラバー塗装も痛んでボロボロだったので綺麗に剥がして植毛紙を貼り付けた。
オレンジのラインも消えてしまったので、この際綺麗に削り落としで溝にし、オレンジの電線をカットして貼り付けた。

セルフタイマーはボタン式で、押すと点滅が始まり、約9秒で点灯に変わり、それから2秒後にシャッターが切れる。

セルフタイマーはチャージしていなくてもスタートするので注意が必要。
セルフタイマーがスタートしてもシャッターレリズレバーを押すとシャッターは切れないで途中解除できる。

電磁石の断線に気がついたときはちょっと焦った、「想定外」って感じかな?(^^ゞ
0.1mmの電線が何処で、何箇所切れているのか?それによっては諦めるしかないかなと思っていた(嘘、なんとしても治したと思う(爆))のだが、幸い多くは巻き始めの部分に集中していたのでラッキーだった。

それにしてもこのカメラはとにかく軽い、基本性能も十分なので入門用にと言わず常用にしたい所だが、ファインダーが暗くて見にくいのが難点。