Rollei XF 35




露出制御:プログラムオート
シャッター:B 、オート(1/30、f2.3〜1/650秒、f16)
フラッシュマチック
ピントあわせ:二重像合致式
レンズ: Sonnar 2,3/40
大きさ、重さ:112×55×71mm 250g
電池:H-D(MR-9)
発売:1974年

分解組み立て難易度10段階評価(私の個人的な能力から(爆))

技術的な難易度: 4
 (コニカC35と同じくらいです)

  大変度: 
  (これもコニカC35と同じくらいです)
  
Rolleiと言えばなんといっても二眼レフが有名ですが、Rollei35などのコンパクトカメラも人気が有ります、中古でも結構な値段が付きますね。
そんなRollei35シリーズ(?)の中でも価格では比較的手に入れやすいのがこちらのXF35ですが、今回は熊っ子さんからカメラの修理のお礼に頂きました(他にも多数頂きました)ありがとうございます<(_ _)>。

すでに熊っ子さんが一度分解されているようなので、状況を確認しながら分解してみました。

まずは軍艦部を外してみます。

どうやら露出計が動かないようです、ロックされたようにビクともしません、カニバサミが戻らないようですね、どうしたんでしょうか?
フロントボードを外すために底蓋を外します。
フロントボードを外します、あれ?どこかで見たような、そうそう、コニカC35と同じじゃないですか、COPAL JAPANなんて書いて有るし。
シャッターユニットを外しました、カニバサミが戻らないのはフレームが曲がっているからのようです、ちょうどCOPALのロゴのあたりで曲がっています、落下品のようですね、フロントボードも陥没状態でした、多分レンズ側から落ちたのでしょう、でもレンズに傷は無いようなのでケースに入っていたのかもしれませんね。

この後露出計を外してフレームの曲がりを修正しました。
フレームの曲がりを治して動作確認しましたが、露出計が動きません、テスターで確認しても導通していないようです、拡大鏡で色々調べましたが、ヒゲゼンマイが根元で切れていました。
このヒゲゼンマイは導線の換わりもしているので、このままでは動きません、ここは意を決して半田付けで修理することにしました。
ちょっと手がプルプルするほどの細かい作業ですし、半田も一滴で山になるような感じですが何とか修理できました、ヒゲゼンマイは1mmほど短くなっていますし、位置や傾きも多少は違いますから特性が変わるのは諦めるしかありません。
それでも原点位置はなんとかオリジナルの位置に調整できました、導通もバッチリ!電池を繋ぐと元気よく動きます。
電池ボックスの電極も青錆びが出ていたので掃除しました。

このカメラ、見えないところはプラです。
露出計の修理をしたのと合わせて電池もLR44を使いたいので、可変抵抗器を使って露出調整をしました。
露出が概ね合ったところで可変抵抗器を外してテスターで測り、同じ値の抵抗器をCdsと露出計の間に入れます。
オリジナルの抵抗器は1.8KΩでしたが、調整の結果は約2.8KΩが適正なようです、残念ながら手持ちで丁度いいのが無いので、2.2KΩと470Ωを直列に繋いで2.67KΩで良しとしました、電池が減ってきた時のことも考えると丁度いいでしょう(^^ゞ。

この後絶縁チューブを被せてやります。

露出計の脇には50.6の印字があります、昭和50年6月製です、外国のカメラに昭和で表示が有るのは面白いですね。
二重像合致式のレンジファインダーなのですが、いやにシンプルですね、ゾーンフォーカスのカメラのようにミラーが固定されています、はてな(?_?)
実はファインダー中央の像は動かないのでした、じゃあどうやってピントを合わせるの?
答えは…面白いですよ、レンズの前後に合わせてファインダーの前玉を左右に動かすのです、そうすると中央の像は動かないのですが、フレーム自体が動くのですね、え?、そんなことしたらフレーミングが狂うって?いえいえ、そもそもレンジファインダー式のカメラにはパララックスというものがありますから、大げさに言うとパララックス補正にもなっているってことですね、実に面白いです。
ファインダーの調整はこのネジで出来ます、貼り革を剥がせば良いだけですから、比較的簡単です。

上から、ピント調整、高さズレ調整、高さズレ調整固定です。
落下品にありがちな事ですが、ファインダーのフロントガラスが割れていました、丁度レンズの上の部分になりますので、やはりレンズ側から落ちたと思われます。

熊っ子さんから違うカメラのフロントガラスを交換用に付けて頂いたのですが、このカメラは窓の部分が丸いので別に作ることにしました。

材料はプレパラート用のガラス板です、付き合いの有る科学機器屋さんから一箱買いました、50枚入りで約500円(^^ゞ、何に使うんですかって聞かれてもね、カメラ治すとは言えないし、息子が使うんだってごまかしたりして(爆)。
すりガラスにしたくない部分にテープを貼ってマスキングして、サンドブラストというのをやります。
ほんの数秒でこうなります、機械加工用のサンドブラストなので、ちょっと荒いですが、まあまあでしょ。
違和感は無いですね。
シンガポール製です。
内面反射対策は酷いものでスメ8並です、少しでも改善されるように反射防止の植毛紙を貼りました。
巻き戻しダイヤルですが、この安っぽさ。
裏蓋は高級感があります、モルトも無いです。
このレンズにコロリと逝く人も多いのでしょうね。
RICOH XR500や、NIKON FM10のように、外見はプラでも中身は金属製で、性能に影響する部分は手を抜かないでコストダウンをしているカメラをいくつも見てきましたが、このカメラは反対です、性能に影響の無い外装は金属製、金属にして欲しいフレーム等はプラ製です、Rolleiと言うメーカーはこのカメラを出したころからブランドメーカーになってしまったのでしょうか、技術者としての誇りをまったく感じません、唯一ファインダーの仕組みは面白かったですが。
それにしてもRolleiは経営が苦しかったのかな、日本のカメラメーカーの影響は大きかったのかもしれませんね。
でも、そんなこと知らなければ質感の良いカメラですよ、レンズも一応Sonnarですから、見栄は張れますし、持って使って楽しいカメラであることは間違いないと思います、フレームがプラだからって特別写りに影響が有るわけじゃなし、今時のデジカメなんてプラ外装に0.1mmくらいの金属板を貼り付けて金属に見せているカメラもゴロゴロしてますから、それよりずーっと良いですよ。