Canon EX AUTO



横走り布幕式フォーカルプレーンシャッター
B・1/8〜1/500秒、機械式
電池 HD型水銀電池
レンズ:EX50mm F1.8(2群3枚、前玉交換式)
寸法:143×92×84mm
重量:900g (FX50mm F1.8付き)
発売:1972年(昭和47年)2月
発売時価格:39,000円(EX50mm F1.8付き)

分解組み立て難易度10段階評価
 6

Canonの一眼レフ入門カメラです、canon camera museum を見ても、その他の分類ですからメーカーとしても通常の一眼レフカメラとは別の扱いだったんでしょう。
このカメラは2002年の年の瀬にBINさんに譲って頂き、気になりながらもなかなか修理の手が出せなかったんですが、このところcaonoのカメラも何台か修理して自信がついたので分解してみることにしました。
症状は巻上げもシャッターレリーズも出来ない状態です、一眼レフだと通常はミラーの状態で、ある程度の状況がつかめるんですが、このカメラはレンズが外せないので分解しないとわかりません。

前玉交換式と言う特殊な構造です、後玉、絞り、ヘリコイド等はボディーに固定されていて交換できません。
おなじみ、クイックローディングです。
フィルム巻き戻し部は、電源スイッチとマニュアルでの絞り操作ダイヤルになっています、マニュアル時の絞り値はファインダーを覗いてあわせます。
廉価版と言っても構造が安っぽいというようなことはありません。

巻上げが出来ないのはどうも中央のギヤがおかしいようです。
分解して見るとギヤが割れていました、こりゃ参った!
少し形を修正してハンダ付けしてみました、これでなんとか使えるでしょう、再組み立てして確認です。

あれ、やはり巻上げが出来ません、どうも原因は別にあるようですね、このギヤは巻上げが出来ないんで無理に巻き上げて壊したものと思われます。


結局分解することになりました、フロントボードを外して分解してみると、特別な構造というわけではありません、レンズマウントが無いことを除けばまったく普通の一眼レフカメラで、手抜きは感じられないですね、しっかりした作りです。

巻き上げ出来ない理由は単純でした、巻き上げ状態だったんです、シャッターが切れてないんですね、なんででしょう、色々調べましたが、どうもミラーをアップする動作がうまく行っていないようです。



ミラーをアップさせるのは中央左にあるスプリングですが、何度動作させてもこのスプリングが弱いとしか思えません、特に動作が重くなっている部分も無いようです、なので少し強いスプリングを作って交換してみました、写真は交換した後のものです、これで軽快に動くようになりました。
しかし、スプリングなんて弱くなるものじゃないと思うんですが、真の原因はなんだったんでしょうか、もう一台分解しないと解りませんね。
シャッタースピード優先式AEの制御部です、露出計の針を階段状の板で挟み込む方式で、マニュアルで絞りを変えるときは露出計の針を強制的に動かしています。
幕は特に問題なさそうなので、このまま使うことにしました。
ちょっと苦労しましたが、何とか修理することが出来ました、良かった良かった。
出来上がってファインダーを覗いてみると、とっても明るいですね、空中像式ファインダーと言うそうですが、まるでレンジファインダーのようです、早い話が望遠鏡なんですね、マット面がありませんので明るいんですが、ピントは中央でしか合わせられません、まあそれほど不便ではないですけどね。

このカメラは一眼レフ入門用の廉価版ということなのですが、レンズマウントがないことを除けば、まったく構造的にも材質的にも手抜きはありません、RICOHのXR500などとはまったく違います、それで値段は39,000円ですからXR500より安かったわけで、昔からcanonは凄いですね、それほど人気がなかったのが不思議ですが、やはりマウントの問題は大きかったのでしょうか、FLかFDマウントなら今でももう少し人気あったでしょうね。
 


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