Canon NEW EOS Kiss




35mmフォーカルプレーンシャッター式マルチモードAF一眼レフカメラ
TTL位相差検出式AF(3点自動、手動選択)
縦走行電子制御フォーカルプレーン(コパル製)
シャッタースピード:1/2000〜30秒・B・X=1/90秒
ファインダー: ダハミラー固定アイレベル式、倍率0.7倍、視野率90%
電池:CR123A型2個
 大きさ、質量:146×92×62mm、400g(電池含む)
発売年月 1996年(平成8年)9月
発売時価格:59,000円 (ボディ)

レンズ:SIGMA ZOOM 28-80 1:3.5-5.6 MACRO

分解組み立て難易度10段階評価
 4?
ただし、半田付け個所多数、フレキ多数
特殊な工具は必要なし

 私のサイトを長く御覧になっている方は、私が以前「NEW EOS Kiss」(以降kiss 2)を所有していて、マニュアル操作に不満があって手放した事をご存知の方も多いと思いますが、別にKiss 2が嫌いなカメラになったと言うわけでは有りません、どちらかと言えば今でも好きなカメラの部類では有りますが、当時は経済的な理由でMFカメラ用レンズとAFカメラ用レンズを同時に所有する事は無理で、MFとAFのマウントが共通に使えるPENTAXに走ったと言うのが事の始まりです。

 今回は久しぶりのフルプラ一眼なので特にそう思うのですが、kissはとにかく軽いです、最新の世界最小を謳うPENTAX K-mでもリチュウム電池込みで590g有るのに対して、電池込みで400gしかないですからね。
 正直言ってフルメタルのカメラは冬の撮影では辛いのです、プラだと温かみを感じるから不思議ですね、そう考えるとこれはこれで使えるなと思ったり(^^ゞ

 EOS系は以前「EOS10 QD」でも述べましたが、初期の物はシャッター幕のダンパーが溶けて動作不良を起こすことで有名で、最近は「EOS Kiss」のダンパー不良が出回ってきたので、そろそろ手を出してみようかなと思っていたのです(^^ゞ

 レンズはAF不良のSIGMA標準ズームレンズです、もうこのレンズでAF不良じゃない物は手に入らないんじゃないでしょうか、確実に壊れると思いますから。

 *文字が青色の所は分解の手順ですが、うろ覚えで書いているので完全ではないと思います、分解に興味の無い方は読み飛ばしてください、私の備忘録です。


まずレンズロックボタン側の貼り革を剥がし、マウントとペンタの間に有るネジ2本、底から見てマウントの真下に有るねじの脇のネジを緩めると前面パネルは外れる。
底蓋を外す。

グリップを外す。
トップカバーの液晶脇のネジと、アイピース脇のネジ2本を外す。(配線が有るので、まだトップカバーは外れません。)
マウントは外さなくても良い。

写真の状態だとギヤは固定されていない、下に向けると右から5枚は外れるので紛失しないように
プラギヤだが設計は悪くない、コストと品質のバランスは良いと思う。
写真はパトローネのDXコードを読む接点。
1列6点なのでISO感度の読み込みのみでISO25〜5000までと言う事になる。

中央のフレキ2枚、グレー、ピンク、薄緑、黒、赤、それに手前の半田付けを全て外す。
裏蓋のロック機構を外し、フレキが両面テープで貼りついているので丁寧に剥がす。
グリップの内側。

青と白の太目の線は気を付けよう、伊達に太くは無い、無闇に触ると本人の意思とは関係なくカメラを放り投げる事になる(やりました(爆))

出来れば電池を抜いてから数日後に分解するのが良い。(放電させると言う手も有るがここでは解説しない)


ここに見える線は赤以外全部外す。

これで多分トップカバーが外れます(^^ゞ。
モード切替ダイヤル
裏側に圧電ブザーが有り、緑の線がそれにつながっている。


こちは左上のネジと手前のネジを外せばOK。
右側の赤と黒の線を外す。
吊り金具、液晶パネル、*ボタンラバーを外す。
吊り金具を外すと裏蓋のピンが外せるようになるので、外しておく。


液晶パネルは上部の金具で押さえて有るだけなので、金具の下側(液晶の裏側)から引っ張るようにすると外れる。
液晶パネルはガラスなので無理な力を加えないようにしよう。
液晶の下から出てくるフレキのネジと、液晶のフレームの固定ネジを外す。
フレキの繋がりを外す。
オレンジ、黄色、ピンク、青の線とAF補助光ランプを外す。
フレキを基盤から外す。
察しのいい方は分かると思うが、こちはストロボ用の基盤です、気を付けましょうね(^_^;)


中央のネジ他3箇所外すとコンデンサーのカバーが外れる。
ストロボ関係の配線とコンデンサーが外れる。(まだ赤と黒の線はつながっている)

EOS10QDではコンデンサーはフィルム巻取りドラムの中に有りましたが、kiss2は巻き取りドラムの中にモーターが有りました。
電子ダイヤル脇のフレキを外す。(このフレキは外さなくても良いかも(^^ゞ)
電子ダイヤルを外す。(ネジ2本)
赤、黒の電線を外す。(これでコンデンサーが外れる)


これでストロボユニットが外れ、アイピースの脇2本、ミラーボックスの下2本とグリップとマウントの脇1本のネジを外せばミラーボックスが外せるようになります。




シャッターユニットですが、パノラマの機構が有りますね、実はパノラマの切りかえって横方向の動きで、パノラマ枠は
上下に動くのが不思議だったんですが、こういう構造になっていたんですね。
やっとダンパーとご対面です。
なんともないみたいですね、一応外してひねったり突っついたりしてみましたけど問題無さそうです(爆)

何のために分解したんでしょうね?(^_^;)・・・・・(T_T)
気を取り直してちょっと観察

メインのLSI モトローラ製です。
ミラーボックスの下から見たところです。
AFのセンサーが見えます。

ここまで分解しても機械的な部分が本当に少ないですね。
ミラーチャージのロック機構と言うような物も有りません、レバーが1個有って、そのレバーを押さえるとミラーが降りてきて、シャッターがチャージされます、常にシャッター幕がチャージされた位置に有ると言う事ですね。
シャッターシーケンスは、電源が入ると幕が電磁石で保持され、ミラーチャージが解除されて上がります、ミラーが上がると先幕が解除され、続いて後幕が解除されて撮影完了、続いてミラーがチャージされ、ミラーに引きずられて幕がチャージされて終了です、非常に単純で、ちょっとカルチャーショックです(^^ゞ

制御は完全に電子化されているから出来る事ですが、機械式のシャッターユニットを設計していた人から見れば崖から付き落とされるくらいショックでしょうね、こんなに単純な機構で、しかも金属と言えばバネやネジ、電線、鉄心くらいしか有りませんから、ラジカセと大差ないですよ。



裸の「NEW EOS Kiss」

ミラーボックスの組み込みはミラーが下がった状態になるように指で押さえながら
パノラマの切り替えレバーの入り込みに注意して組み込めばOK!
(パノラマのレバーはネジ1本で外れるので、外しておいたほうが簡単かも)
 
 今回は何故かカメラを分解したという気になれない、どちらかと言えばラジカセの分解をしたって感じで、カメラ分解には必須のカニ目レンチやリングレンチ等の特殊工具は一切必要ない、プラスのドライバーと半田ごて、半田の吸引器が有れば問題なく分解できる、カメラ特有の知識もそれほど必要ない。
 つまり電気屋さんなら分解修理は簡単だと思うが、反対に機械式カメラの修理を主にやってきた人には簡単ではないだろう。
 昨今のデジタルカメラが電気屋さんで売られているのも分かる気がする。

 ところで、ここまで御覧頂いたので正直に白状しますと、実はカメラの分解と組み立てが完了するまで、このカメラは「NEW EOS Kiss」ではなく「EOS Kiss」だと勘違いしていた(^^ゞ
Kiss1とKiss2の違ってどこに有るんだろう?違いが分からないなあ・・・・なんて思いながら分解組み立てを終えた(^^ゞ
その後調べてみると、このカメラはkiss2だと気がついた、まったくバカな話で、オークションで出品されていた別のkiss1のダンパー不良ジャンクと混同していたようだ。
おかげで完動品のkiss2を分解してしまったと言う事(^^ゞ。

と言う事でkiss2はダンパーの溶け出し対策が済んでいると言う事が分かった(^^ゞ、まあ収穫は有ったと言う事にして気分よく終わりにしよう(爆)

しかし、そうなるとやっぱりダンパー不良のkiss1も分解したくなってきたなあ(^^ゞ